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科目名 基礎昆虫学 
担当者氏名

山岸 健三

全開講対象学科 農学部生物資源学科
年次 2年次 
クラス A・B 
講義学期 前期 
単位数
必選区分 必修科目 
学期・曜日・時限  
部門 専門教育部門-専門教育科目群必修 
備考  



準備学習・事後学習
下記の参考文献をはじめ,様々な昆虫関係の図書が図書館にありますので,利用してください.また,私の講義内容は前後で関連しています.講義中にノートをとることはもちろんですが,毎回,講義時間の2倍を目安に復習を行い,講義用ノートとは別の用紙にレポート形式でまとめを作成する.定期試験後に模範解答と講評を公開し,フィードバックします. 
課題・定期試験に対するフィードバック
履修上の留意
テキストは使用しません.毎回プリントを配布して講義をしますが,プリントがあると安心して勉強しなくなります.定期試験では全て持ち込み可能ですので,プリントを見ればわかるような簡単な問題は出しません.合格率は決して高くありませんので,毎回,復習をしっかり行いまとめを作成してください. 
授業の概要と目的
本科目はDPの2,CPの2に位置し,前半は昆虫の基本的な形態や生活様式を解説し,後半は害虫化した昆虫たちの特徴や生活戦略について講義します.また,天敵やカイコなどの有用昆虫も紹介します.農業の生産現場において,あるいは食品の加工現場において,害虫や天敵昆虫のみならず,一般昆虫についても幅広い知識が求められます.この講義ではこのような昆虫に関する基本的知識を習得するのが目的です.(科目ナンバリングコード:AA21402) 
該当するCP(カリキュラム・ポリシー)およびDP(ディプロマ・ポリシー)
実務経験と授業内容の関係
科目ナンバリングコード
サブタイトル
知っているようで何もわからない昆虫について,そのイロハから講義します. 
到達目標
地球は昆虫の惑星です.身近にいても意外と気付かない昆虫たちの生き様を理解する.また,家庭や農耕地あるいは食品工場に出没する害虫や天敵昆虫,あるいは無関係の昆虫など,見分けることができるようにする. 
授業計画
【項目欄】 【内容欄】
1. 節足動物の系統と昆虫の基本的構造  節足動物は体の外側を硬い殻(外骨格)で覆い,移動のために多くの足を持ち,防衛力と移動力の両方を備えたすばらしい体制である.古生代に節足動物の一部が昆虫へと進化した.昆虫の基本的外部形態について解説します.次回の話題と関連します. 
2. 昆虫の基本的外部形態  昆虫の頭部には感覚器と口器がある。胸部は移動・運動のために特化し,6本の脚と,4枚以内の翅(はね)を持つ.腹部は内部に消化器官を持ち末端部に生殖器官を備える. 
3. 昆虫の分類と系統・不完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略1  昆虫の学名の解説をする.翅(はね)のない昆虫から翅を持った昆虫へ進化することで,昆虫は爆発的に進化した.有翅昆虫の中でもトンボのように背中で翅を畳めない古翅群について解説する. 
4. 不完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略2  翅を背中に置ける新翅群の中の不完全変態昆虫群について解説する.カメムシ目は不完全変態昆虫群の中でも針状の口で植物から栄養分を吸汁するタイプである.このため,気が付かないうちに農作物に重大な被害を及ぼすことがある.農業害虫を多く含むため,これ以降の話題と関連します. 
5. 完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略1  完全変態昆虫群は幼虫と成虫の間に蛹の段階を持ち,蛹の時期に体の作りを大きく変えることができるので,幼虫は食べることに専念し,成虫は生殖と移動・分散に適した形態になる.今回はコウチュウ目を中心に解説する. 
6. 完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略2  完全変態昆虫群の中のチョウ目を解説する.チョウ目の幼虫は植物の葉などを食害するイモムシ・ケムシで,重要な農業害虫や衛生害虫を多く含んでいる. 
7. 完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略3  完全変態昆虫群のハエ目を解説する.ハエ目の幼虫は栄養の乏しい腐植質や水中で生活しているので,農業害虫は少ないが,成虫になってから吸血する種では重要な衛生害虫となっている.また一部のハエは捕食性や寄生性となり,天敵となっている. 
8. 完全変態昆虫群の生活様式と繁殖戦略4  完全変態昆虫群の中のハチ目を解説する.ハチ目の大部分は寄生性で天敵昆虫になっている.一部のハチ類は捕食性の狩蜂になったり,受粉昆虫の花蜂となり,いずれも農業に陰ながら貢献している.特に寄生蜂はこれ以降の話題と関連します. 
9. 昆虫の変態と行動の制御  昆虫の発育は変態(脱皮)ホルモンと幼若ホルモンの分泌によってコントロールされている.同一種内の昆虫の行動には匂い(フェロモン)や音(鳴き声)が交信手段として使われている.害虫防除手段として利用されている話題も多い. 
10. 昆虫の食性と植物との関係  生の植物を食べる昆虫に対抗して植物はさまざまな毒素(アルカロイド)を開発したため,1種類の昆虫は限られた植物しか食べられなくなった.その一方で,昆虫は植物の花から吸蜜するため,昆虫と植物の間で共進化を起こした.また,植物は虫に食べられると特別な香りを出し捕食性昆虫や寄生性昆虫を呼び寄せる. 
11. 昆虫の生活史  昆虫の成長は有効発育温量に左右される.休眠は日長により調節される. 
12. 農耕が昆虫を害虫に変えた  昆虫は一般的に増殖率と移動能力が高い.農耕は広大な草原を生み出したため,マイナーだった草原性昆虫を害虫に変えた.害虫となった昆虫は,内的増殖率と移動能力が高いため,薬剤抵抗性が発達しリサージェンスを引き起こす. 
13. 生物的防除  天敵昆虫の利用の歴史について解説する.施設害虫に対しては様々な天敵を利用し,生物農薬が開発されてきた.しかし,露地栽培では生物農薬が使いにくいため,いかにして野外の天敵を呼び寄せるかが課題となっている. 
14. 昆虫の種分化と遺存種  種分化の仕組みを解説.1つの種が地理的に分断されて起こる異所的種分化と,同じ地域で異なる生活様式を選択したことによる同所的種分化を解説する.特に日本列島は氷河期と間氷期の繰り返しにより類似した種が存在し,山奥で細々と生活していて絶滅に瀕している種も少なくない. 
15. 昆虫の種多様性と自然保護  日本では,原生林的環境で種類数が最も多いが,個体数が少ない種類が多いので多様度指数は高くない.人間が管理する里山環境ではマイナーな種類も個体数が増えるため,多様度指数は上昇する. 
テキスト
【書籍名】 【著者】 【出版社】
1. 毎回プリントを配布します     
参考文献
【書籍名】 【著者】 【出版社】
1. 応用昆虫学の基礎  中筋房夫 ,他  朝倉書店 
2. 日本動物大百科8・9・10  石井実・大谷剛・常喜豊(編)  平凡社 
3. 節足動物の多様性と系統  吉澤和徳,他  裳華房 
4. 昆虫科学が拓く未来  藤崎憲治,他  京都大学出版会 
授業方法の形式
講義 
成績評価方法
定期試験100%.定期試験は小論文形式で,講義内容の理解度と,前後の話題を有機的に関連づけて理解できているかを問う.試験の合格率は意外と低いのですが,講義後の復習を十分に行い,前後の講義と関連付けて理解するよう努めてください.C(合格)となるためには,到達目標を最低限達成することが必要である.出席が講義回数の2/3に満たない場合には欠格とします. 
成績評価基準
受講生へのメッセージ
学生の大半は都会暮らしのため,ほとんど昆虫を知りません.また,家の中に出現するゴキブリや庭を飛び回るハチについて大きな誤解を持っています.この講義では,そのようなイメージを打ち砕く内容になっています.地球は昆虫の惑星です.身近にいても意外と気付かない昆虫たちの生き様を理解してください. 
参考URL
画像
ファイル
更新日時 2021/02/10 13:39


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