シラバス参照

科目名 データサイエンス・AI応用基礎1 
担当者氏名

齊藤 公明

杉浦 伸

冨田 耕史

三町 祐子

山田 宗男

山本 修身

鳥居 弘志

全開講対象学科 薬学部(6年)薬学科
年次 1年次 
クラス  
講義学期 後期 
単位数
必選区分 選択科目 
学期・曜日・時限  
部門 その他-データサイエンス・AI応用基礎 
備考  



準備学習・事後学習
・本授業の授業計画に沿って,準備学習と復習を行ってください.
・準備学習として,各回の授業計画で指定したテキストの該当部分や内容に関するWebでの情報を,事前に1時間程度かけて,目を通しておいてください.
・事後学習としては,3時間程度かけて,課題として出された練習問題を解くとともに,テキストの該当部分を再度読みながら,動画で解説した演習問題を復習するようにしてください. 
課題・定期試験に対するフィードバック
・課題や小テストについては,授業内で継続的に解説,質問対応等を行います.
・質問等については,WebClass のメッセージにて行ってください. 
履修上の留意
・開講形態は,WebClass によるオンデマンド方式の遠隔講義です.
・講義動画/資料を視聴しながら講義内容を学習した上で,練習問題・課題など解くことによって,理解の定着に務めてください.
・毎回の小テストは,講義内容の理解度を確認するもので,成績評価に大きく関係しますので,慎重に回答してください.
・高度な高校数学の知識は前提としませんが,基本的な計算やグラフの作成を行います.また,実践課題や演習課題では,個人あるいはグループでPCを利用しながら,実際の計算問題や課題にチャレンジしてください. 
授業の概要と目的
本講義の主目的は,学生が数理的な素養を含め,データサイエンス,データエンジニアリング,AIに関する知識とスキルを適切に習得し、自身の専門分野で数理・データサイエンス・AIを実践するための総合的な視点を身につけることにあります.具体的な実例や社会の課題を題材に取り入れた授業を通じて,実社会の問題にアプローチする方法や,数理・データサイエンス・AIの適切な活用法を学びます.また,「データ分析」を通して、課題の発見と定式化,データの取り扱い,モデル化,結果の可視化,検証と活用といった,一連のステップを学習します.最終的には,実践的なデータサイエンスおよびAIのスキルを習得し,問題解決においてデータと分析手法を有効に活用する能力を身につけることを目的とします. 
アクティブ・ラーニング
各回での課題は,講義内容に基づく,実社会データを用いる PBL 課題が多く設定されています.基本的には,個人の取組でも構いませんが,友人とのペアあるいはグループでの取組を推奨します.グループでのワークは,作業分担や互いの意見を共有することで,より効果的かつ有効に知識の定着が可能となりますので,積極的に取り組んでください. 
該当するCP(カリキュラム・ポリシー)およびDP(ディプロマ・ポリシー)
【法学部】 CP1,DP3
【経営学部】 CP2,DP2
【経済学部】 CP2・3,DP2
【理工学部】
・数学科:CP1・4,DP2
・電気電子工学科:CP2・4,DP2
・材料機能工学科:CP1・4,DP2
・応用化学科:CP1・4,DP1
・機械工学科:CP1・4,DP2
・交通機械工学科:CP2・4,DP2
・メカトロニクス工学科:CP1,DP3
・社会基盤デザイン工学科:CP1・4,DP2
・環境創造工学科:CP1・4,DP2
・建築学科:CP1・4,DP1
【農学部】 CP1,DP1
【薬学部】 CP1,DP1
【人間学部】 CP1,DP1
【外国語学部】 CP1,DP1 
実務経験と授業内容の関係
授業内容が研究開発にどのように応用されるかについて,企業での研究開発経験のある教員が実務経験を基に授業を実施します. 
科目ナンバリングコード
【法学部】法学科:LL12001【経営学部】経営学科:BB12001,国際経営学科:BI12001【経済学部】経済学科:EE11206,産業社会学科:EI11207【理工学部】・数学科:SS12001・電気電子工学科:TE12001・材料機能工学科:TZ12001・応用化学科:TO12001・機械工学科:TM12001・交通機械工学科:TT12001・メカトロニクス工学科:TR12001・社会基盤デザイン工学科:TC12001・環境創造工学科:TK12001・建築学科:TA12001 【農学部】生物資源学科:AA12001,応用生物科学科:AB12001,生物環境科学科:AE12001 【薬学部】薬学科:PP10112【人間学部】人間学科:HH12001【外国語学部】国際英語学科:FE10205 
サブタイトル
問題解決における数理・データサイエンス・AIの活用と実践Ⅰ 
到達目標
様々な専門分野の学生が,自らの専門分野の研究や卒業後の就業に際して,数理・データサイエンス・AIを活用して課題を解決できるようになる実践的な応用基礎力をもつことを到達目標とします.
・ データサイエンスやAIが注目されるようになった社会背景と,様々な分野での活用事例を理解し,説明できるようになる.
・ データサイエンスの基本的な分析手法を身につけ,データ解析の結果を分析目的に即して解釈できるようになる. 
授業計画
【項目欄】 【内容欄】
1. ・本講義の進め方と注意事項(齊藤 公明:理工,山田 宗男:情報工)
・準備学習(エクセル活用法)(山田 宗男:情報工)
【序論1】
データ駆動型社会とデータサイエンス(杉浦 伸:都市情報) 
・講義の目的と到達目標,受講方法等を理解する.

データ駆動型社会,データエンジニアリングなどの視点からデータサイエンス社会の全体像を学ぶ.

キーワード:データ駆動型社会,Socciety5.0,ICTの進展 
2. 【序論2】
AI の歴史と応用分野(山田 宗男:情報工)
(1) AIの概要と基本概念
(2) 古典的なAIアプローチ
(3) 機械学習とディープラーニング
(4) AIの応用分野
(5) AIの倫理と社会的な課題 
AI の基本概念とその起源について学習する.AIの定義や目標,推論や学習の概念について学び,AI の歴史的なマイルストーンや代表的なアイデアについて紹介すると共に,古典的なアプローチから機械学習やディープラーニングの台頭までの流れも取り上げる.さらに,AIの応用分野に関して,自然言語処理,画像認識,ChatGPTなど,実際の応用事例を通じて、AI の実践的な活用方法を理解する.

キーワード:データ駆動型社会,AIの歴史,AIの適用/応用,ChatGPT 
3. 【データサイエンス基礎1】
数学基礎1(冨田 耕史:理工)
(1) 平面と空間のべクトル
(2) 行列と行列の演算
(3) ベクトルの内積 
ベクトルと行列は自然や技術の理解に欠かせない理論であり,社会の仕組みを調べるための重要な手法である.特に,これから学ぶ数学基礎1〜5およびデータサイエンス基礎6は機械学習やディープラーニングなど AI で利用する数学の柱となる.ここでは,平面と空間のベクトルの基礎からはじめ,行列とその演算方法およびベクトルの内積について解説する.
学習の際は,ベクトルについては,ベクトルのもつ意味を理解し,演算・成分・内積について基本概念を理解することを目標とし,行列については,その概念と基本的な演算のしくみについて理解することに留意するとよい.

キーワード:平面ベクトル,空間ベクトル,行列,成分,スカラー倍 
4. 【データサイエンス基礎2】
数学基礎2(冨田 耕史:理工)
(1) 行列の基本変形
(2) 行列を使った連立方程式の解法
(3) 1次変換 
ベクトルと行列の応用として連立1次方程式と1次変換について解説する.連立方程式は複数の未知数を求めるための方程式である.解法の基本はたくさんの未知数に関するもとの連立方程式の方程式たちから,より未知数の数が少ない方程式たちに帰着する消去法である.この操作は行列の基本変形とよばれる操作を使って実現する「はき出し法」に対応する.この手順を数学的に整理し,具体的に計算できるようにする.また,平面や空間内の図形の回転移動も行列を使って表すことができる.このことを数学的に説明しているのが1次変換とよばれる概念である.

キーワード:連立1次方程式,行列の基本変形,はき出し法,回転の行列,1次変換 
5. 【データサイエンス基礎3】
数学基礎3(三町 祐子:理工)
(1) 初等関数
(2) 極限と微分の定義と考え方
(3) 関数の最大と最小 
機械学習で扱う最適化理論に不可欠な微分法について学習する.高校数学で学習した初等関数(多項式関数,三角関数,指数関数,対数関数)の諸性質を振り返った後,極限および微分係数を定義し,初等関数を用いて,いくつかの例にあたる.その後,グラフの接線や凹凸,および,関数の極値,最大値・最小値を求める方法を学ぶ.与えられた初等関数のグラフの概形を描くことができるようにする.

キーワード:関数,極限,微分,極値,最大・最小 
6. 【データサイエンス基礎4】
数学基礎4(三町 祐子:理工)
(1) 積分の定義と考え方
(2) 面積・体積の求め方
(3) 微積分の応用 
微分の逆演算である積分について学習する.不定積分と定積分について学んだ後,面積や体積を求める方法を示す.これは次回以降,確率計算を行う際に必須となる計算方法であるからしっかり習得してほしい.最後に微積分のまとめとして,簡単な微分方程式の解法を解説する.現象を記述する微分方程式は,自然科学・社会科学において非常に有用であり,データサイエンスモデルの構築に大いに役立つと考える.

キーワード:積分,面積,体積,微分方程式 
7. 【データサイエンス基礎5】
数学基礎5(齊藤 公明:理工)
(1) 事象の捉え方と確率の計算(集合,順列・組合せ)
(2) 確率の定義と性質,条件付確率と独立性
(3) ベイズの定理とその応用 
確率の初歩について解説する.確率及び統計の概念は、データサイエンスにおいてランダムなデータの扱い,時系列解析,ベイジアンネットワークなど揺らぎを伴う様々な場面で基盤となる重要な考え方である.本授業では,順列,組合せから始め,集合の概念,確率の定義及び性質,条件付確率とベイズの定理,独立性などを理解し習得できるようにする.

キーワード:集合と事象, 順列・組合せと確率計算,確率の定義,条件付確率と独立性,ベイズの定理等 
8. 【データサイエンス基礎6】
データの分析設計・観察(齊藤 公明:理工)
(1) データ分析の進め方(仮説検証サイクル,分析目的の設定,データの収集,加工,統合など)
(2) 基本的なデータ可視化手法(度数分布とヒストグラム, 箱ひげ図,散布図,ヒートマップ,分割表など)
(3) 基本的なデータ分析手法(代表値,分散と標準偏差,確率変数,確率分布,仮説検定など) 
データを統計的に分析する際には、必ず課題を設定し解決したい目的を決める.また,その目的を達成するためには実際の分析をどのように行うか分析設計のスキルが重要になる.このとき,統計に関する知識・経験に加え,その土台となる数学の知識が求められる.本授業ではデータ分析・設計,データの観察について概略を述べた後,統計の初歩について解説する.確率分布,確率変数,確率変数の平均・分散などの定義と性質,仮説検定の概念を理解し習得できるようにする.

キーワード:データの分析目的, 統計的分析および設計, 観察,確率変数,確率分布,仮説検定 等 
9. 【データサイエンス基礎7】
データ分析手法1(鳥居 弘志:経営)
(1) 単回帰分析と重回帰分析
(2) モデル選択
(3) ロジスティック回帰分析 
「データサイエンス・AI 入門」の内容をベースにして,回帰分析の発展的トピックス(ダミー変数,回帰係数の検定,モデル選択など)について学習する.また,勝ち・負け,合格・不合格など2つの結果が起こる確率を複数の要因から説明するロジスティック回帰分析の考え方と回帰係数の求め方,活用例について学習する.

キーワード:ダミー変数,回帰係数の p 値,自由度修正済み決定係数,AIC,ロジスティック関数 
10. 【データサイエンス基礎8】
データ分析手法2(鳥居 弘志:経営)
(1) 時系列データとは
(2) 時系列データの変動分解
(3) 季節調整 
ある現象の時間的変化を記録したデータが時系列であり,自然科学,社会科学,工学など幅広い分野で観測され利用されている.時系列データの分析は,その背後にあるメカニズムやモデルを見出そうとするものである.また,求められた時系列モデルは将来の状態を予測するためにも用いられる。ここでは,時系列データを周期性,トレンド,不規則ノイズに分解する方法について学習する.

キーワード:時系列グラフ,変化率,周期性,トレンド,不規則変動,移動平均 
11. 【データサイエンス基礎9】
データ分析手法3(鳥居 弘志:経営)
(1) アソシエーション分析とは
(2) マーケットバスケット分析
(3) マーケティング分野への活用 
データマイニング手法の一種であるアソシエーション分析について学習する.POS レジや EC サイトなどでの購買履歴データから利用者の購買行動における関連性をどのようにして発見するかを説明する.また,マーケティング分野などでの活用法について紹介する.

キーワード:購買行動パターン,支持度,確信度,リフト値,Apriori アルゴリズム 
12. 【データサイエンス基礎10】
データ分析手法4(鳥居 弘志:経営)
(1) クラスター分析とセグメンテーション
(2) 階層的クラスター分析
(3) 非階層的クラスター分析(k-means法) 
対象に対して観測された様々な属性データに基づいて,対象を性質の類似したもの同士を集めたグループに分割するクラスター分析について学習する.クラスター分析には階層的クラスター分析と非階層的クラスター分析があり,それぞれの特徴と使い分けについて解説する.また,クラスター分析の活用例について紹介する.

キーワード:デンドログラム,k-means 法,セグメンテーション,グルーピング 
13. 【データサイエンス基礎11】
アルゴリズム・データ構造論1:
計算の原理とアルゴリズムの表現(山本 修身:情報工)
(1) 計算のモデル(メモリーとプログラム)
(2) R を用いた簡単な計算の例
(3) 流れとしてのプログラム(フローチャート)
(4) 情報隠蔽,抽象化としての関数
(5) 繰り返し構造と再帰呼出し 
計算を実行する機械のモデルはいくつかあるが,この講義では我々が普段利用している現実の計算機に最も近いモデルであるランダムアクセスマシン(RAM)を紹介する.RAM のしくみはその上で動くより抽象性の高い多くのプログラミング言語にも反映されている.
本講義では,GOTO 文問題など計算機の泰明期において露呈したいくつかの問題を解説し,それらを克服する形で現在のプログラミング言語が形作られていることを示す.特に本講義ではプログラムの流れの制御の構造化や関数による抽象化を「データサイエンス・AI入門」において学んだ R を用いて説明する.

キーワード:命令形プログラミング言語,構造化プログラミング,構造化定理 
14. 【データサイエンス基礎12】
アルゴリズム・データ構造論2:
身近なアルゴリズム1(木探索)(山本修身:情報工)
(1) 線形構造と木構造
(2) 木構造で表現できるデータ
(3) 深さ優先探索・幅優先探索
(4) 深さ優先探索の再帰呼び出しによる表現
(5) さらに高度な探索アルゴリズム:ヒューリスティックサーチ 
我々の身近な問題の多くは,ある計算を一つずつ順番に繰り返していくような単純な構造を超えて,より複雑な動作をさせることで解決されることが多い.そのためのデータ構造として最も単純な構造が木構造である.木構造を導入することによって,我々の身近な問題を自然に定式化することができる.本講義では木構造の内部を走査するための基本アルゴリズムである深さ優先探索を中心に解説した後に,より高度で効率的なヒューリスティックサーチについて簡単に解説する.

キーワード:スタック,キュー,順列組み合わせ,数え上げ,
A*アルゴリズム,IDA*アルゴリズム 
15. 【データサイエンス基礎13】
アルゴリズム・データ構造論3:
身近なアルゴリズム2(ソーティング)(山本 修身:情報工)
(1) ソーティングの定義
(2) 簡単なアルゴリズム:バブルソータ
(3) 高速ソートアルゴリズムの例:マージソート
(4) バブルソートだって速くできる:コムソート
(5) 比較ソータの限界
まとめ(山田 宗男:情報工) 
アルゴリズム研究の歴史のなかで最も古典的な話題の一つがソーティングであり,古くから研究がなされてきた.また,研究の過程において数多くのソートアルゴリズムが発見されてきた.本講義では最も単純なソートアルゴリズムであるバブルソートから始めて前回解説した木探索アルゴリズムの応用とも解釈できるマージソートなどについて解説する.さらに,比較演算によって実行されるソートアルゴリズムの必要計算量の下界について解説する.

キーワード:ソーティング計算量の下界,時間計算量,空間計算量 
テキスト
【書籍名】 【著者】 【出版社】
1. 応用基礎としてのデータサイエンス  北川 源四郎,竹村 彰通 ほか  講談社 
参考文献
【書籍名】 【著者】 【出版社】
1. 教養としてのデータサイエンス  北川 源四郎,竹村 彰通 ほか  講談社 
2. 基礎から学ぶデータサイエンス講座: スグにできて、ビジネスに利く  坂本 松昭  同友館 
3. AI リテラシーの教科書  浅岡伴夫,松田雄馬 ほか  東京電機大学出版局 
4. データサイエンス入門  竹村 彰通  岩波新書 
5. エクセルで学習するデータサイエンスの基礎  岡田朋子  近代科学社 
授業方法の形式
講義/演習/自習課題 
授業の実施方法
遠隔講義(WebClass によるオンデマンド方式) 
成績評価方法
・小テスト40 %,定期試験 60 %で評価する.
・小テスト,定期試験は何れも,WebClass でのオンライン試験とする.
・ただし,出席回数が3分の2に満たない場合は欠格とする. 
成績評価基準
C(合格)となるためには,到達目標を最低限達成することが必要である. 
受講生へのメッセージ
将来,自身の専門分野で研究や就業を行う際に,問題解決に数理・データサイエンス・AI を活用するための基礎的な素養が必要です.まず,社会での活用と新たな価値創造の理解が重要です.同時に,AI やデータにはバイアスや公正性の問題が存在すること,プライバシー保護やセキュリティの課題も考慮しなければなりません.間近に迫るデータ駆動型社会で活躍するためには,数理・データサイエンス・AI 教育の必要性と可能性を理解し,自身の専門分野や数理的な習熟度に合わせて,より高度な人材に成長していくことが重要です.本講義を通じて、これらの素養を身につける一歩となることを願っています. 
参考URL
1. データサイエンス・スクール 総務省統計局によるデータの活用方法や統計に関する知識をいつでも学べる学習サイト 
2. 社会人のためのデータサイエンス入門 総務省統計局によるデータサイエンスに関するオンライン講座 
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更新日時 2024/02/14 09:26


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