シラバス参照

科目名 雑草学 
担当者氏名

汪 光熙

全開講対象学科 農学部生物資源学科
年次 3年次 
クラス A・B 
講義学期 前期 
単位数
必選区分 選択科目 
学期・曜日・時限  
部門 専門教育部門-専門教育科目群選択 
備考  



準備学習・事後学習
平素から、自宅・アパートや通学途上の公園、農地、沿道,鉄道沿いや大学キャンパス内に生えている雑草を見るよう心がけ、種名を図鑑やインターネットなどで調べておくこと。毎回,講義時間の2倍の自学自習をすること。 
課題・定期試験に対するフィードバック
履修上の留意
地球上には30万余の植物の種(species)が存在するが、人が作物など有用植物と区別し、厄介者として駆除しようとする植物(雑草)は約1000種である。一方、雑草の中には、作物にとっても人にとっても有益な植物種の存在が近年知られるようになった。また一方では、逆に作物や人に馴染みがある植物種が雑草として扱われる場合があり、現在では、厄介者の植物を雑草として一括りにする概念が曖昧になっている。しかしながら、学生諸君の大多数は、附属農場でのフィールドワーク実習時に時々出くわすことはあるものの、世間一般の人と同様に雑草はもちろんのこと、雑草の持つ役割・メカニズムに関心を示すことは希で、知らないまま過ごしてしまうことが多いと思われる。本講義を受講するにあたっては、学生は毎週の授業終了後、学習した内容を振り返り、雑草に関しては意識して観察し、その生態や形態を復習しておくこと。 
授業の概要と目的
多雨な温帯モンスーン気候区に属する日本では,農業は今なお日々雑草との闘いが続いている。雑草学の目標は、こうした雑草の特性・役割を理解し、それを制御して作物の成長を促し、収穫物の収量・品質を最大限に発揮させる上で必要な知見を集積し、技術開発・利用に資することにある。一方では雑草の長所を見出して景観・環境保全などに役立てることも重要な視点である。本講義では、猛威を振るう帰化雑草を含めた日本の水田・畑地雑草を中心に、その特性・機能、作物との相互関係や環境保全機能について講義し、また、ニーズに合わせた雑草防除手法の解説、さらに雑草の利用法、伝統文化についての解説を行う。本科目は生物資源学科の学位授与方針(DP)(2)である「生物資源学(生物生産学、遺伝・育種学、生物保護学、経営・経済学)に関する高度で幅広い専門的学識と基本的な解析技術を修得し、社会の持続的な発展の方向性について思考する能力を身に付け、農と食に係わる科学的背景を深く理解した上で、農業技術やバイオテクノロジーの効果や影響を多面的に捉えつつ社会に貢献できる」ことを目指す。
本科目はDP2とCP2に対応しています。
(科目ナンバリングコード:AA31406) 
該当するCP(カリキュラム・ポリシー)およびDP(ディプロマ・ポリシー)
実務経験と授業内容の関係
科目ナンバリングコード
サブタイトル
農作物・環境にとっての雑草の生理・生態や役割を科学する。 
到達目標
農学を学ぶ学生として、雑草と作物との相互関係、なかでも雑草の弊害、存在意義と役割、その防除・制御法や利用について理解を深める。雑草を身近なものとして親しめる存在にする。 
授業計画
【項目欄】 【内容欄】
1. 雑草とは何か  地球上に存在する約30万種の植物のうち、1,000種程度が雑草である。雑草は身近に存在していて馴染み深いが、そもそも雑草とは何か、なぜ雑草と呼ばれるのか? 作物との違いや自然環境との関わりに視点を置いて解説する。 
2. 雑草の草種  水田、畑地などの農耕地あるいは非農耕地、道路・鉄道沿線、ゴルフ場などに発生する雑草をグループ化し、各々の特徴について解説する。雑草の種の特性について、植物分類学的な視点からも解説する。 
3. 農業生産と雑草  雑草も作物も共に植物でありながら、食料生産に必須な作物とそれを害し防除対象となる雑草に分けられる意味を解説する。一方では、作物も前作の栽培作物との関係で雑草として防除対象にされる場合があり、このことについても解説する。また、米、麦等は、除草作業をしないと、どの位減収するのか。これまでの研究成果に基づいて解説する。 
4. 雑草の生理・生態学的特性 その1  作物・野菜・果樹など人に有用な植物とは異なる特性を持つ雑草の基本的な生理・生態を解説すると共に、雑草の生活・生命力の強靭性や環境耐性について概観する。 
5. 雑草の生理・生態学的特性 その2  野外の雑草は、人がどんなに高度な防除体制を敷いても、毎年シーズンになると、必ずといって良いほど発芽・萌芽しそのライサイクルを全うする。ここでは、雑草種子の生産性・寿命・休眠性(多くは埋土種子)、種子発芽の不均一性など繁殖特性に基づく生存戦略について解説し、農作物の栽培・生産上、防除に必要な雑草の弱点を暴き出したい。 
6. 雑草としての帰化植物 その1  雑草と呼ばれる一群の植物のうち、その半数は明治維新前後を境にして持ち込まれた帰化種である。それ以前や米作渡来頃に帰化した種、あるいは近年の食料輸入に伴って侵入しているものを含めると、帰化雑草は全体の約80%にもなる。これらの導入経緯、及びその後の分布拡大,生態や我が国での定着様式について解説する。 
7. 雑草としての帰化植物 その2  自生地以外の国に搬出されたり、他国から導入されたりして、その地で定着した植物が、それぞれの国の在来植物を脅かす強害草として、優先的防除の対象になっている実態を解説する。 
8. 農作物の栽培における雑草害  作物、野菜、果樹など人の生存を保証する農作物の成長・分化・成熟の過程は、日本では常に雑草との競争状態にあり、雑草に邪魔されて減収を余儀なくされる場合が多い。イネや夏野菜の生育シーズンと雑草のそれとが重なる時期に降雨が多いことが主要因であるが、そうした雑草害とは何か、どの程度深刻かについて解説する。 
9. 景観形成・環境機能保全における雑草害  人が生活したり、交通機関などで往来する際には、様々な植物・雑草に出会い、その景観に感動したり違和感を覚えたりする。人が生き、快適な生活を送る上で大切な日常的生活要素である景観形成・環境機能の保全に、雑草が強い影響を与える実態を解説する。 
10. 作物-雑草間の相互作用、雑草害  作物と雑草の相互作用について概説し、競合要因や競合力の評価について論ずる。雑草害の種類、発生の経緯、経済的損失について紹介する。 
11. 擬態雑草と除草剤抵抗性雑草の進化  手取り除草と擬態雑草の進化の関係および除草剤の使用と除草剤抵抗性の進化の関係を解説する。 
12. 総論としての雑草管理  雑草の防除・制御は一筋縄では完結しない。いくつかの組み合わせで総合的に防除する必要がある。それには、機械的、耕種的、化学的、生物的な手法があり、それらを総論的に解説する。雑草-作物間の他感作用(アレロパシー)についても言及する。 
13. 水田雑草・畑地雑草の管理  水田や畑地に発生する雑草とそれらの防除・制御について、作物の生育時期に対応した最新の雑草管理法を解説する。近年の雑草化した作物(雑草作物)の防除法、雑草化した鑑賞用アサガオやユリ科植物の防除についても言及する。 
14. 道路・鉄道沿線等の非農耕地の雑草管理、および本講義の総括  人の生活・移動に係わるフィールドの美観、景観形成は、重要な快適・美的要素である。近年、沿道、道路の路肩や法面、鉄道沿い、農道・水田畦畔などでの雑草管理は重要な課題をはらむようになっている。農業生産とは直接関係しないものの、農作物の品質や人の生活の快適性を損ねる雑草植物の管理について解説する。最後に本講義を総括する。 
15. 雑草観察・解説を中心とするフィールドワーク  広い視野をもって農業現場を読む方法、「フィールドワーク」について学ぶ。フィールドワークは問題を解くよりも、問題のありかを探すために行われることがむしろ多い。このため、最初は目的が分からないように感じられるかもしれないが、さしあたっては、農業現場の面白さに出会ってもらえればよいだろう。本実習では、フィールドワークを行うための一般的注意事項、準備、野帳の記入、地図の読み方、現場〔農業立地、農業インフラ、作物と栽培法、植生、市場(いちば)など〕の読み方について学ぶ。 
テキスト
【書籍名】 【著者】 【出版社】
1. 「雑草学入門」  山口裕文ら  講談社(2018) 
参考文献
授業方法の形式
講義。パワーポイント法で授業。適宜資料配付を予定。 
成績評価方法
レポート 100%。ただし、出席回数が 3 分の 2 に満たない場合は欠格とする。C(合格)となるためには、到達目標を最低限達成することが必要である。 
成績評価基準
受講生へのメッセージ
雑草を踏みつけてしまう前に、ちょっと立ち止まって観察してみよう。科学的思考に基づいた飛躍への第一歩になる。なお、講義中の私語は厳禁です。 
参考URL
画像
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更新日時 2021/01/30 14:21


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